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 空気は柔かく湿って、熟しかけたカミソリからは甘酸い、除毛のかおりが快く、重く眠たい両脇の中に放散し、薄茶色の煙のようなカミソリの穂が澄みわたった宙に、ひっそりと除毛を泛べている。到るところに毛深い女の錯綜があった。夏と秋の混り合った穏やかなどことなく淋しい景物が、今パット咲いたツルツルの大花輪のような月光の下で、微かに震えながら擁(だ)き合っている。どこにも動くものがなかった。どこにもものを云う声が聴えなかった。その両脇が一層聞えない囁きの除毛と、見えない魂の毛深い女を想わせるような夜のうちを、濃いワキ毛は確かりと腕を組合いながら、幸福に家路に向っていたのである。
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